姫路顕栄教会

2010 年6月の聖句PDFファイル

「空の鳥をよく見なさい
マタイ第6章26節










 皆さんは、空の鳥をじっくりとご覧になったことがありますか。この聖句はイエス様がお 弟子さんたちに語られた教えなのですが、続けて次のようにも云われました。「種もまかず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は 鳥を養ってくださる。」と。確かに鳥は自分で食べ物を作ったり、料理したりできませんが、楽しそうに大空を飛び回っています。何故でしょうか? それは、天の父なる神様が彼らを養って下さるからだとイエス様は教えられました。つまり、鳥たちはいつも神様に守られているから「思い悩む」ことなく、安 心して生きられるということです。

それでは、わたしたち人間はどうでしょうか。鳥たちをじっくり見て下さい。神様によって創造され、自然の恵みを与えられて養われているところは同じではな いでしょうか。だから、本来、人間も鳥のように思い悩むことなく生きる者であるということです。しかし、現実に人はいつも何かに思い悩んでいます。

こんな話を聞いたことがあります。運送会社に勤務されていた35 歳の男性の方ですが、彼は有能で会社ではエリートとしてバリバリ働いていました。成績がよく、やがて大企業に出向することになりました。結婚もして幸せの 絶頂にあったのですが、大企業に行くと、それまで30の企業との取引だったのが、300社に増えて、朝から夜遅くまでの重労働となりました。彼はなんとか 与えられた仕事を完璧にやろうと努力したのですが、やがて体調に異常が出始めて、十分な睡眠がとれなくなり、鬱(うつ)病になってしまいました。そしてこ の世から逃避したいと自殺をしようとしたのです。

しかし、幸いにも奇跡的に命をとりとめることができました。この男性は、妻にも離縁され、さびしくつらい毎日を病院のベッドの上で過ごしていましたが、ふ と気がつくと母親がベッドの側でいつも無言で付き添ってくれていました。そのとき、自分は決してひとりぼっちではないことに気づきました。いつも自分のこ とを心に留めてくれる人が必ずいるんだ、ということを感じることができたのです。
それから再び健康を回復され、生きていてよかったと涙を浮かべながら語っておられました。

確かにこの男性は自分の能力を越えた仕事を完璧にしようとしました。これは自分が神様になろうとすることです。しかし、現実には出来なくて思い悩むので す。この世には人間に出来ることと出来ないことがあります。人はいつまでも生き続けたいと思ってもそれは出来ません。そのような思い悩みは、全てのものを 創造され守っておられる神様にお任せすることです。神様と共に歩むことは人生でもっとも楽しく安心なことなのです。

「空の鳥をよく見なさい。」

どうか、思い悩むときは、この言葉を思い出して下さい。

チャプレン 日本聖公会 司祭 ヨハネ 芳我 秀一


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