姫路顕栄教会
2008 年6月の聖句PDFファイル
「必要なことは、ただ一つだけである」
ルカによる福音書 10章42節



 これは、以前、宣教師として日本に来ていたアフリカ人の神父さんがしみじみ
と、打ち明けてくれたお話です。来日して間もなく「神父さん、私の家に遊びに
来て下さい」とある日本人の御家庭に招かれたので、楽しみに出かけたところ、
神父さんが到着するなり、次から次へと、素晴らしいごちそう、食後のデザート。
お風呂はすぐに入れるようにしてあり、客間にはキチンと布団が敷いてありました。
しかし、神父さんを自宅に招いてくれた奥さんは、台所にこもったまま。神父さん
は、しかたなく、黙々と、食事をしていたということです。

 食事が終わると「神父さん、今日はお疲れでしょうから、どうぞ早くお休み下さ
い」と言われたので「いえいえ、お疲れになったのはあなたでしょう」と思わず
口にしてしまいました、とのこと。「多分、奥さんは私との会話を楽しむことより
も、何とか接待を無事に終わらせることに、夢中だったようでした。私は、ゆっ
くりとお話をして、もっと親しくなりたい。ただ、それだけだったのですが・・」。

 新約聖書に記されているマルタとマリアの物語。イエスさまをもてなすために、
忙しく立ち働く姉マルタ。反対に妹のマリアは、イエスさまのそばにすわったま
ま、その話に聞き入っています。堪忍袋の緒が切れたマルタは「主よ、わたしの
妹はわたしにだけ、もてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。
手伝ってくれるようにおっしゃって下さい」と妹マリアへの文句を、イエスさま
に告げ口します。

 ところが、イエスさまは、妹マリアを注意するどころか、姉マルタに向かって、
次のように言われたのでした。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、
心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選
んだ。それを取り上げてはならない」。(ルカによる福音書10章41節−42節)

 さて、みなさんは、マルタさんタイプですか、それともマリアさんタイプですか。
 私たちは、時にこのマルタさんのように、仕事熱心さのあまり、他人の心を思い遣
ることができなくなり、知らず知らずのうちにマリアさんのような存在を批判して
しまったり、傷つけてしまうことがあります。そんな時、このイエスさまのこの言
葉を思い出しましょう。「必要なことは、ただ一つだけである」。

                                                                                    キリストの平和

                                                     (チャプレン 日本聖公会 司祭  藤井 尚人)
Copyright(C)2007 藤井 尚人 


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